アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、平成14年の全国の保健所、学校での有症率の調査から、20歳以下の国民の10人に1人ぐらいが罹患していると言われています。更にアトピー性皮膚炎の有症率は他の先進国においても近年増加しているといわれており、環境汚染、衣食住の変化、ストレス社会が症状の悪化の原因となっているのではないと言われています。
もともと皮膚のバリアが弱いという遺伝的な背景がある人が、冬などのように乾燥する条件下で、さらに皮膚のバリア機能が低下して痒みが誘発され、結局はバリアが壊れて種々のアレルゲンや刺激物による炎症を起こしやすくなります。
アトピー性皮膚炎患者の臨床的観察からみられる傾向としては、
- アトピー性皮膚炎は幼いときに一時期良くなる。
- 成長して再燃するのが最近の傾向である。
- 一時良くなったら、弱い皮膚を守ることを心がければ再燃してこない。
- 学生生活や就職で親元を離れて自活するようになって悪化することが多くみられる。
- 化粧や不規則な生活が悪化の要因に挙がる。
- 保湿、外用の回数の減少も悪化の要因と思われる。
などがあげられます。
アトピー性皮膚炎があることの問題点
- 痒みによる集中力の欠如
- 精神的発育の阻害
- 治療費用
- 患児を持つ家族のQOLも低下する
- 美容
- 心理・社会的負担
アトピー性皮膚炎患者の家族の悩み
- どうすれば掻き壊しをやめられるか。
- ステロイドの副作用が心配
- 将来の見込み(いつ治るのか)
以上のご本人の持つ問題点、ご家族の悩み、この不安をご相談ください。アトピー性皮膚炎でお悩みの方々が自分の日常生活が損なわれることなく、普通の人となるべく同じ生活ができるようにすることを治療の目標(ゴール)として、対処・ご助言させて頂きます。そのために以下の方針で治療をしています。疑問点などおありの方はぜひ一度ご来院ください。
アトピー性皮膚炎の治療の考え
スキンケアの重要性
アトピー性皮膚炎は掻かなければ改善するのではないかといわれています。痒い状態が続くと痒みに対する閾値も下がり、軽い刺激や痛み刺激でも痒くなってしまいます。
幼い頃からきちんと治療して良い状態を保っていれば痒みは生じにくくなりますし、乳幼児期のスキンケアは特に重要です。
成人になっても湿疹にならないためには予防処置を高じることが重要です。
抗アレルギー剤の重要性
痒みを軽減するために抗アレルギー薬が補助的に使用されますが、完全な止痒はできません。
しかし、のむ人とのまない人では治療期間や改善度に有意な差が生じます。塩酸エピナスチンやフェキソフェナジンなど脳血行の少ない薬では眠気などの障害も抑えられます。
アトピー性皮膚炎外用治療の留意点
正しく塗れば安全に副作用なしできれいに治せます。多くの場合、ステロイド外用で全身の副作用がでることはありません。(特殊な場合を除いて)
治らない症例では外用の回数、量が塗り足りていないことがほとんどですので、ステロイドの選択が弱すぎることもあります。指示の量、回数を遵守することが治療期間の短縮につながるのです。